2014年06月01日

「Jコミで印刷できるってよHD」で4コマ作品を中心に、実際に印刷してみた。

「Jコミで印刷できるってよHD」で4コマ作品を中心に実際に印刷してみたので、その作品の紹介と、サービスについて確認したことの報告などをまとめてみました。

印刷してみたのはこちらの3冊。
SAAさん「ちゃのま!」
いずみやみそのさん「小悪魔ティーチャー」
カワハラ恋さん「カワハラ恋未収録作品集」



「ちゃのま!」は、まんがタイムファミリーに掲載されていた作品。
童顔キャバ嬢の梨花と男前女子大生の冴月とお母さん大家の深雪の仲良し3人ぐらし4コマ。
性格も行動もバラバラな3人が仲良しなのは、やはりお母さん深雪の存在が大きいようで…?

「小悪魔ティーチャー」はまんがタイムで掲載されていた作品。
オフィス街の喫茶店で突然始まった婿取りセミナー!?
野心に熱く燃えるキャバ嬢長女と見た目は地味でも官能小説家次女と超ピュアな末っ子の三姉妹コメディ4コマ。
ちなみにこの作品は同人誌版も出ています。Jコミに登録されているものもその同人誌版に準拠されているようで、描き下ろしページも併せて印刷がされます。

「カワハラ恋未収録作品集」は、コミックエールに掲載された、毎度勝てない幼馴染に歯噛みする「らぶわん」ほか、LaLa新人賞応募作品「ロック☆ユー」、花とゆめ新人賞応募作品「HAPPY BROTHOR」の3編が収録。
少女漫画です。4コマではありませんが、きららの系列誌だったエール掲載作品が収録されていることと、カワハラ恋さんの「東京!」や「スカートダーリン(旧題:新宿さんと周りの人々)」などの4コマ作品が大好きなもので今回印刷した次第。
神田はるか名義の作品も対象にありましたが、今回はこちらで。




「Jコミで印刷できるってよHD」サービスの詳細は該当サービスのページを見ていただくとして、概要としては以下。

「Jコミで印刷できるってよHD」で印刷できるのは未単行本化作品55作品。(2014年5月16日現在)
赤松健さん「いつだってMyサンタ」、うめさんの「南国トムソーヤ」の前身とも言える「南国スパイラル」なども対象です。
印税率50%というシステムで、明確に「この作品を印刷すると、作者にこれだけ還元できる」をユーザーがしっかり自覚できるのも一つ大きくあるんじゃないかと思います。


今回、3冊を印刷するにあたって、3パターンの製本で注文しました。
「ちゃのま!」 → 表紙加工無し+ホチキス綴じ 33Pで340円。
「小悪魔ティーチャー」 → 表紙加工無し+無線綴じ 59Pで760円。
「カワハラ恋未収録作品集」 → 表紙マット加工+無線綴じ 95Pで920円。


基本的に、表紙マット加工の有無。 無線綴じorホチキス綴じ。
この組み合わせです。

製本仕様の他に、ページ数に応じて値段が変わります。50P単位でしょうか。
33Pの「ちゃのま!」はホチキス綴じが選択できますが、他2冊では選択できません。
ページ数が多いとホチキス通りませんからね。何ページからがホチキス綴じ出来ないのかは不明です(50P前後であることは間違いない)。

5月16日に注文し、5月26日に届きましたが(ひょっとしたら受け取り関連で遅れたりしてたかも)、注文して30分後にはJコミのページ上から、注文した作品のPDFがダウンロードできるようになります。
届くまでの間はこれで楽しんでね! ということなのでしょうか。
PDFには注文者のメアドが透かしで入ります。DRMフリーなのでコピー回数制限などもなく好きな端末に転送できます。

ちなみに注文後は製本会社から送られてくるのですが、1冊ずつそれぞれ別々のメール便となっているため、同時に複数冊注文しても1通ずつ別々に投函されているようです。届いたのは3通同時でしたが。
恐らく送料も予め値段に含まれていることと、注文後から印刷して送付するフローを効率化、もしくは簡略化した結果なのだとは思いますが、サービス改善ポイントの一つですね。

表紙加工に関しては正直クオリティに差は感じませんでしたが、保存においてはマット加工の方が良いでしょう。
加工無しだと、重ねて長期間置いておくと張り付いたりする可能性があるんじゃないでしょうか。
また、通常のコミックスのようにカバーは付かないため、同人誌というか小冊子の扱いになります。

本文ページにおける印刷は、悪くない印象です。
オンデマンド印刷であることの影響なのかは判りませんが、一部トーンなどにかすれていると感じる箇所があり、非常に良いとは感じません。それでも作品によっては綺麗に出ているものもあるため、元原稿の差であったり、印刷オペレータによる調整の有無によるものと言えるでしょう。



また、「ちゃのま!」は「自分のコレを上げてくれ」システムによって、ユーザーからアップロードされたものであるため、雑誌スキャンからの再現により低解像度気味と感じます。それでも読むにあたっては問題ないレベル。
逆に言うと、ユーザーのスキャン原稿からでもここまでの再現が出来るのかという点はポイントかもしれません。


このサービスにおける一番の本質は、作者にとって作品を描く原動力の一つである「収入」の最たる印税となる単行本が、出せなかった場合の救済にあることです。
4コマの場合はその問題は特に顕著で(他に秋田書店界隈などでしょうか)、単行本になるだけのページ数があったとしても、前巻の売れ行きによっては2巻が出ないことがままあります。1巻すらも。連載を長く続けても、掲載された原稿料のみの収入だけで漫画家は生活は出来ません。
印税率50%の「Jコミで印刷できるってよ」サービス。未単行本化作品を対象としていることからも、この問題の解決策の一つとするべく出来たサービスだと思います。
ファンディングサービスと同様、明確に「作者へ還元できる」ことを自覚できる点は、利用者としても少し新鮮に感じます。

課題としては収益性でしょうか。例え本サービスで印刷できる作品を公開したとしても、サービスを利用して印刷をして貰わなければ印税50%もへったくれもありません。むしろ作者自身で同人誌として頒布した方が利益が出る可能性も十分にあるでしょう。実際の利益率がどれくらいなのかといったレポートは今後出てくると思いますが、損益の分岐点は勿論のこと、作者自身にとって有益になるかどうかはしっかり見極めなければいけません。
自身で印刷費を負担しなくて済むという利点はあるものの、「Jコミで印刷できるってよ」を読者に使ってもらうには、まずJコミで作品を公開しないといけないわけです。PV収入もあるとは言え、「読者にとって無料で読める」ことの是非についてなど、考えるべきことはあるのではないでしょうか。


ただ、読者にとってやはりメリットは大きいです。
「ヤマダイーブック」というサービスがリニューアルする際の騒動をご存知でしょうか。
2014年7月31日で一旦サービス終了とし、新たに立ち上げる。ただし、旧サービスで利用していた電子書籍は読めなくなる。というお知らせが発表されたことで発生した騒ぎです。せっかくお金を出して購入したのに読めなくなってしまう。そんなのは誰であれイヤですよね。
その後、その発表は撤回され、新サービスでも継続して読めるよう調整することとなったようですが、電子書籍はサービスによってはこうした事態を招くのです。
音楽ダウンロードサービスだって、サービス終了した上にデータが飛んだら復旧できません。
同様に、Webで公開されている作品はいつまでも同じように読めるとは限りません。
そこで「Jコミで印刷できるってよ」サービスを利用し、本として、物理メディアとして所持しておくことは、こうした事態でも作品が散逸しない有効な手立てです。
そういった意味では、物理メディアは非常に強力かつ優秀です。
個人的にも紙で漫画を読むほうが好きですしね。


ところで話は大きく変わる…ということもありませんが、2年前、もう2年前ですか。その時にですね、こういうことをやったんです。



4コマ界隈の単行本化未遂問題を明確化したいがために行った調査でした。


出版社は損益から一定以上「売れる」かどうかを見極めなければなりません。
刷った分だけ売れなかった場合は損失です。それが続くと出版社は倒産。こうなっては元も子もなく目も当てられません。発表する場すらなくなってしまうと及ぶ影響は…書きだすのも恐ろしい…。かと言って「単行本を出さない」判断は作者の収入を減らすことになるわけで。出版社としても売れないことには収益とならないわけで。例え「単行本を出す」判断をしても、部数の調整すらも身を切る思いをされているのかもしれません。

悲観的にならざるをえない現状ですが、今我々が出来る事は「面白い」の声を上げ続けること。そうして「面白い作品」を広く知らしめること。そうして単行本を買って、ちゃんと「売れる」ということを出版社に伝えること。いち読者として出来る事は、こうしたことだと思います。現状は。

ただし、インフラ側、プラットフォーム側の人にとってはその限りではありません。仕組みから変えてしまえる力を持つものは強いですよ。
根本的に出版業界の収益の上げ方の仕組みを変える必要があるのではないかと思う部分もありますが、「絶版になった本を再び世に放ち、作家に還元する」サービスを行うJコミはそのインフラ側に近くいらっしゃいます。


これは私の思いあがりなのかもしれませんが、2年前のこの私のTweet投稿を、Jコミの赤松健さんの目に止まっていたようで、RTしていただいた上にこのように発言されていました。




その後、Jコミで「Jコミで印刷できるってよβ」が2013年11月1日に開始。
そして2014年5月16日に正式スタート。

もうね、私の思いの一つが結実したと思わずにいられません。
そこに対してのお礼も含めて、今回サービスを利用しました。
色んな漫画家の方々にこのサービスを使っていただき、より多くの読者に単行本にならなかった作品が届けば…、さらに漫画家へ収入というフィードバックをもってして、さらに色んな作品を描いて欲しいと願ってやみません。

我々読者は、色んな作品を、もっともっと沢山、読みたいのです。
ただひたすらに、読みたいのです。

そこに儲からないからという理由で読めなくなるのは寂しいことです。
今後、Jコミ以外のところでも、むしろ出版社主導のもと、単行本にならなかった作品を印刷できるサービスが普及すると良いですね。
(そうすれば、なんとしても読みたいあれやこれやそれの作品が・・・ッ!!)
ちなみにオンデマンド印刷自体は各出版社や書店でも取り組みは行われていますが、あまりパッとしません。というか知られてないのでは?


「Jコミで印刷できるってよ」は、まだまだ対象作品数や収益、サービス認知率といった課題はたくさんありますが、一つの漫画リリースサイクルの流れを作る画期的サービスになるポテンシャルがあるのではないでしょうか。



ちなみに裏表紙には印刷ですが、サインが入ります。


posted by 花 at 03:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 駄文 | 更新情報をチェックする
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