

■鈴城芹さん「家族ゲーム」10巻
ゲームで繋がる家族の輪。家族の輪から繋がる人の輪。
人生すら垣間見える群像劇4コマ。
10巻のレビューをすると言ったな。あれは嘘だ。何故なら私は電撃PSを購読していませんので。
じゃあなんのレビューをするのかって?
簡単です。これまでのおさらい的なお話をするだけです。
しかもちょっと妙なアプローチで。
2011年の4コマオブザイヤーでも書いた内容なのですが、
ケビン・ベーコン・ゲームって、ご存知でしょうか。
突然ですが、ケビン・ベーコン・ゲームって、ご存知でしょうか。
どの俳優からでも共演者を辿っていくことで6回以内にケビン・ベーコン氏に辿り着く、という法則のことです。
実はこの「家族ゲーム」のタイトルも、そういった「法則」の意味が含まれているのかもしれませんね。
http://flower-thief.seesaa.net/article/240049727.html「六次の隔たり」という言葉でも知られています。他にエルデシュ数とかスモールワールド現象とか。
詳しくはwikipediaを見て下さいとかいう、如何にもお決まりでお定まりなフレーズになってしまうのが恐縮なのですが、無作為に選んだ全世界の誰かと誰かは、知人を辿ると6人以内に辿り着ける。って話です。ちなみにFacebookユーザは4.7人でたどり着けるとも言われています。
嘘か真か。ぶっちゃけどちらでも良いです。家族ゲームはどうなんだろう、っていう話をするだけで。
「家族ゲーム」と名を冠する以上、家族の繋がりは大事。と、いうことで実際に6回以内に全キャラクタにたどり着くことができるのかどうか、調査してみました。
繋がりは「家族」「同級生」「同僚」、そして「恋人」。 顔見知りやご近所さんは含めません。
キャラクタを追加するのは、名前が判明した時点。例えば1巻にちらりと登場している今川陽良子はその時点では追加していません。他人との繋がりが明確になった時点としています。ざっくり。
ちなみに9巻までに登場したキャラクタは、総勢80名!
1巻のときは15名だったところからのこの人数。この数字だけでもスケールの広がり具合が実感できるかと思いますが、調査結果の下記図をご覧いただければ、さらに実感できることでしょう。
なお、下記リンク先でも詳細に動的に閲覧できます。
家族ゲームと六次の隔たり1巻
15人。
遊佐葵と伊佐坂悟も、この頃はまだ姉の同級生。同級生の妹。
遊佐家を中心とした小さな世界。
2巻
大学グループが明確に出てくる。
それでも一番遠そうな延山燐から伊佐坂父までは5次に収まる。
3巻
大きくは変わらない。
今川陽良子がバイトを始めることで延山燐と隣接するが、元々延山燐は兄である延山巌から温水尚武、その妹の温水由寿、同級生の伊佐坂悟と繋がっていたので、その先の伊佐坂父との距離までは変わらず。
ただ遊佐征爾とは近付くので、結果、遊佐葵の友人関係と近付く。
4巻
真言の高校進学で、ゲーム部メンバーが追加。
大学・高校組とのグループが明確に。
5巻
チーム有象無象の追加や、大学組の新入生。遊佐葵の中学進学で水瀬紫杏との繋がりが出来る。
温水由寿のバイト先店長の息子として浜泰斗が登場するが、他との繋がりが母親の浜銘子しかなく、また浜銘子は遊佐ゆきえとは近所付き合いがあるものの知人止まりであるため、結果として隔たりが多く、宮間朱音の父との距離が6次となる。
ここで初の6次登場。
6巻
それぞれ新入生が追加。
遊佐征爾を中心とした際の1次の繋がりの大学組、娘から繋がりの2次の繋がりが綺麗に円を描く。
7巻
さらに新入生が入る。
浜泰斗と宮間朱音の父との距離が5次に縮まる。
これは浜泰斗の母親の浜銘子のオーナーが、宮間朱音の同級生である江西ゆかりの母・江西淑美であることが判明したため。
江西淑美は大学組の江西ちなみの義母でもあるため、大学組とも距離が縮まっている。
8巻
進級はなかったため、大きな変動はない。
特筆すべきは今川陽良子が温水姓に変わったこと。
これにより温水由寿と隣接するが、今川陽良子は間山和や琴野里菜が同じバイト勤務の同僚だったため、遊佐真言ら高校生組との距離は変わっていない。というか、元々近かった。
9巻
遊佐真言が大学生、遊佐葵が高校生になったことでカオスな状況に。
遊佐征爾より遊佐真言の繋がりの方が勝る。
当初は遊佐家の大黒柱、大学教授である遊佐征爾がこの作品におけるケビン・ベーコン氏に相当するだろうという想定から中心人物に据えてました。その想定通り、真言グループ・葵グループ・大学グループという具合に分かたれた三派がそれぞれ進級したり就職したりするなどで繋がりを増やし、どんどん絡まっていきました。しかし9巻目にして中学・高校・大学とで繋がりを増やしてきた遊佐真言が接続数で勝る結果に。
絡まり編まれ、描かれる図は、幾何学模様の「家族ゲーム」という物語。
10巻になった際は、果たしてどのような絵になるのでしょう。楽しみですね。
しかし、上記図の中に絡んでいない人物が
一人だけいます
そう、彼
だけは誰とも家族でも同級生でも同僚でもないのです。
…ゲーム倶楽部の店長、西東さんです。なんということでしょう。ゲーム雑誌で連載しているゲームメインの作品なのに、ゲームショップの店長が輪に入れない!
…ごめんなさい。隔たりの定義を定めた私が悪いのです!!
本来であれば登場人物のほとんどの人と面識がある人であるはずなのに!
でも、ひょっとしてひょっとすると、西東さんも誰かの同級生だったりするかもしれませんね。
そう、例えば、実は遊佐征爾の同級生で互いに気付いてなかったとか、遊佐征爾の父親の教え子だったりとかするんですよきっと!遊佐征爾の同期である西条教授と繋がりがある可能性もありますね!
それにしても、ちょっと考えてみると当人たちにとって驚くべき人間関係というのがいくつも出てきますね。
自分の高校時代の部活の後輩の母親が、ライターである母親の担当編集で、
その担当編集の部下が、大学教授である父親の元授業受講者で、
その受講者の彼女が声優として参加したゲームを制作したクリエイターが、妹の友人の兄で、
その兄の奥さんは父親の元授業受講者であるとか。
「みんな、繋がってる?」
そんな密接に絡み合う人間模様を所謂「神の目線」で眺めることができる物語「家族ゲーム」。
時がすぎるのは矢の如しとは言いますが、この物語を追いかけていた身からすると、共に時を過ごしてきたかのようで、あの時小学生だった子も今や…といった親心まで芽生えるかもしれません。
鈴城芹さん「家族ゲーム」10巻は、4月27日頃発売!※書籍扱いのため、発売日より早く発売されることもあります。
あ、せっかく作ったこのページ、是非とも御覧くださいね。
家族ゲームと六次の隔たり※繋がりを表す図のスクリプトは、InfoVis ToolkitのRGraphを使わせて頂きました。
http://philogb.github.io/jit/※データは後半になるにつれて検証が不十分である可能性があります。
※※でも動的にグリグリ動くのは見ていて面白いよね!(←